根圏からの植物中へのマンガンの吸収と植物体内での移行に関係するタンパク質を明らかにするために、(1)マンガン欠乏ストレスによってマンガンの吸収に関係する機能が誘導されるかどうか、(2)マンガンの吸収と移行を支配している遺伝子は何か、について検討した。 トマトをマンガン欠乏におくとマンガンの吸収能が増大することを見いだした。それに伴って根の形質膜での金属結合性タンパク質の含量が増した。そのタンパク質を単離し部分アミノ酸配列を決定した結果、土壌微生物と根の相互作用に関与するタンパク質との相同性を認めた。マンガン欠乏は土壌微生物の感染を引き起こす第一の原因として、このタンパク質の発現が関与する可能性を示した。これらの金属に対して結合性を示すタンパク質以外に、マンガン欠乏によって誘導されるタンパク質は、メッセンジャーRNAの転写の差よりいくつか見いだし、構造を調べている。 マンガンの吸収以降に関係する遺伝子は、シロイヌナズナのマンガン含量の低い変異株を選抜し、欠損して遺伝子を明らかにすることによって決定する。シロイヌナズナをマンガンの吸収の違いによって選抜するために、水耕培養法を確立した。中性子線照射によって異変を導入したシロイヌナズナ約5000株から3株のマンガン含量の低い植物を得、変異遺伝子のマッピングを行った。
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