電気化学検出によるフラクトース及びアスコルビン酸の定量は連続スロー形式及びストップドフロー形式ともに選択的に行なえることがわかった。酸素反応によって生じる過酸化水素のルミノール化学発光検出については酸素反応が中性付近、化学発光がアルカリ性という相反する条件であるため、感度が予想ほど高くなかった。この対策として、pHの異なる緩衝液を回転リアクターセル内で合流させることにより、セル内にpHグラジェントを起こさせる工夫を行なったが、フラクトース及びアスコルビン酸定量に用いるメディエーターの酸化還元系と相互反応するため、化学発光系は好ましくないことが判明した。そこで、NADが関与する脱水素酸素系を用い、生成するNADHを蛍光検出する方式に改めることとした。これに伴ない、測定対象として、グルコースオキシダーゼ系を用いるグルコース定量(過酸化水素の電気化学検出)及びアルコールデヒドロゲナーゼ系を用いるエタノール定量(NADHの蛍光検出)を行ない、良好な信号を得ることに成功している。測定形式として、回転バイオリアクターの反応場での電気化学検出と蛍光検出が考えられるが、現在のところ、反応場での検出は電気化学検出のみであり、蛍光検出はリアクターの下流に設置したフロー型蛍光検出によって検出している。今後、連続フロー形式とストップドフロー形式の比較を行なうと共に、グルコース、スクロース、フラクソースを含め測定対象成分を増やす。
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