研究課題/領域番号 |
07556098
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 試験 |
研究分野 |
食品科学・製品科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉村 悦郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (10130303)
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研究分担者 |
本田 克久 三浦工業(株), 環境科学研究所, 副所長
大久保 明 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20111479)
山崎 素直 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00011982)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 脱気水 / 食品製造 / 溶存酸素 / 酵素活性 / 米飯炊飯 / 加熱ゲル化 |
研究概要 |
脱気水中の溶存酸素量と脱気状態の関係を解析した。脱気装置およびアスピレーターで吸引した水は溶存酸素量はどちらも通常枠の10分の1の0.6から0.8ppm程度であり脱気状態を長時間保存するのは極めて難しく、時間経過と共に酸素の溶存が見られた。脱気水の物理化学的性質のうち水分子の運動に関する知見を得ることを目的として、非脱気水、Ar置換水およびN_2置換水と、脱気水のNMRの核磁気緩和T_1の比較を行った。非脱気水のT_1が他に比べ有意に短かったが、気体の溶解による水の分子運動に対しては、核磁気緩和では観測できないほどの影響であることが判明した。次に脱気水の酵素活性への影響について検討を行った。基質が完全に溶解している系での脱気水と非脱気水中の酵素反応を比較したところ、グルコアミラーゼおよびα-アミラーゼについては脱気水と非脱気水中との間に有意差が見られなかった。基質が固体のまま懸濁している系での脱気水と非脱気水中の酵素反応を比較したところ、グルコアミラーゼと澱粉末の反応では、懸濁が終了した後の溶液では、脱気水と非脱気水とでは反応生成物の総量にわずかな差が存在する可能性が示唆された。次に脱気水の性質を利用して食品加工への応用の可能性について調べた。無洗米に非脱気水または脱気水を加え、無浸漬炊飯した。米飯の官能評価、テクスチャー、糊化度測定の結果、脱気水を用いて炊飯した米飯の方が米飯特性が向上していることが明らかになった。また鶏卵タンパク質の加熱ゲル化を利用したカスタードプリンなどでは無気泡のゲルの方が商品価値が高いとされるが材料には空気が飽和濃度に溶けており、加熱すると「す」と呼ばれる穴ができてしまう。脱気水を使用した鶏卵加熱ゲル化では高温・短時間加熱でも「す」の形成は認められず、気泡核が消滅していることが確認された。
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