研究課題/領域番号 |
07556114
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小野寺 一清 東京大学, 農学部, 教授 (90012773)
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研究分担者 |
林 良博 東京大学, 農学部, 教授 (90092303)
河本 馨 東京大学, 農学部, 教授 (30011894)
舘 鄰 東京大学, 農学部, 教授 (30011711)
長谷川 篤彦 東京大学, 農学部, 教授 (90011923)
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キーワード | プリン生合成酵素遺伝子 / 融合遺伝子 / 霊長類における進化 |
研究概要 |
ヒト染色体21番上には、プリン生合成酵素遺伝子の内、GARS、AIRS、GARTという酵素をコードする遺伝が存在しており、それらの遺伝子からはGARS-AIRS-GARTという構造の酵素蛋白質が合成される。また、この酵素をコードするmRNAの他に、GARSのみをコードするmRNAがヒトにおいて存在することが示されてきていたが、GARSモノクローナル抗体を用いたヒトの前頭葉におけるウェスタンブロッティングにより、GARSのみの蛋白質の存在が確認された。 そこで、GARSに注目し、特に多くのメッセージを含んでいると思われるその3′末端について霊長類のゲノムDNAをテンプレートにしたPCRによって解析を行なった結果、GARS-AIRS間のコネクター領域と呼ばれる位置に設計したプライマーで、今回行った全サンプル(ヒト、チンパンジー、ニホンザル、ヒヒ)において、ゲノム上でGARS-AIRS間にイントロンが存在しないことが確認され、さらに全サンプルにおいて同一の塩基配列が得られた。また、GARSのみのcDNAの配列をもとにGARS3′末端からGARS3′非翻訳領域3′末端にかけてのPCRを行った結果、この領域にもイントロンが存在しないことが確認された。従って、従来考えられていた選択的スプライシングによる2種の蛋白質の生成は少なくとも霊長類の狭鼻炎類以上においては成り立たないことが示唆された。つまり、GARS遺伝子の3′末端は少なくとも2つ存在しており、GARS遺伝子に関してはゲノム上では2つ存在していることが考えられた。このことは、この遺伝子が大腸菌においてGARS、AIRS、GART遺伝子が別々に存在し、その後進化の過程で融合してきたことを考えるとむしろ自然のことのように思われる。
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