研究概要 |
(1)モルモット副腎髄質細胞において、ATPは内向き電流,細胞内Ca^<2+>上昇及びカテコールアミン分泌を起こした。一方、ATPはG蛋白質の活性化を起こし、電位依存性Ca^<2+>電流を抑制した。(2)モルモット副腎髄質細胞はN、L、P/Q及びR型Ca^<2+>チャンネルを有しているが、培養ブタ副腎髄質細胞ではN,L及びP/Q型Ca^<2+>チャネルが存在し、R型は存在しなかった。(3)ATPフォトメータを用いてATP発光を連続的に記録した。ATPの検出限界は1-2nMであった。ブタ培養副腎髄質細胞をカバーグラスの上で培養し、これを0.5mlのチェンバーに入れ、2ml/分で培養細胞の表面灌流を行った。灌流流出液を2分し、ATPフォトメーターと電気化学検出器によりATPとカテコールアミンを連続的に測定した。アセチルコリン,60mMKCl及び5mMBaCl_2を投与するとATPとカテコールアミン放出を起こした。いずれの刺激でも、ATPはカテコールアミンと同じ時間経過で放出され、カテコールアミン/ATPのモル比は7-12であった。(4)灌流流出液のアデニンヌクレオチドを高速液体クロマトグラフで測定するとATP、ADPとAMPはほぼ同量であり、流出液中のカテコールアミン/アデニンヌクレオチドのモル比は4-5であった。この値は分泌顆粒内のカテコルアミン/ATPの存在比と類似していた。(5)単一副腎髄質細胞からのカテコールアミンの量子的放出をパッチクランプ増幅器に接続したカーボン電極を用いて測定した。アセチルコリンは濃度依存性にカーボン電極表面近くのカテコールアミンの酸化に起因するスパイク状電流の発生頻度を増加させた。(6)単一副腎髄質細胞からのカテコールアミン分泌は検出できたが,ATP分泌反応は現在までのところ検出できていない。
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