研究概要 |
本研究ではロタウイルス特異的レセプターあるいはその関連遺伝子を単離し、それらの遺伝子を培養細胞に導入して、ロタウイルス高感受性細胞の樹立することを最終目標に、まず、ロタウイルスの11セグメント遺伝子の解析及び細胞表面に存在するトリロタウイルスに対するレセプターの性状を検討した。また、レセプター遺伝子の単離や発現を確認するために、ロタウイルスレセプターに対するモノクローナル抗体の作出を試みた。その結果、以下のことが明らかになった。 1、レセプターに対応するウイルス構造蛋白質を同定する一貫として、トリロタウイルス、PO-13株の全ゲノム遺伝子の塩基配列を決定した。また、クローニングした遺伝子を培養細胞に導入し、それらにコードされる蛋白質を発現させ、各機能解析を行ったところ、VP4が細胞レセプターに対応するものと思われた。(Ar ch.Virol.,1995.Virology,1995.Vet.Microbiol.,1996.Arch.Virol.,1996.Virus Genes 1997.Virus Res.,1997) 2、ロタウイルスに感受性のMA-104細胞の表面に存在するレセプターの性状を酵素及び各種ガングリオシドにより検討したところ、MA-104細胞上のロタウイルスレセプター分子にシアル酸の関与が強く示唆された。(Arch.Virl.,発表予定) 3、牛乳及び卵白ムチンがロタウイルスと結合し、その感染増殖を阻止することを明らかにした。また、両ムチンに対する抗血清中に細胞レセプターに結合すると考えられる抗体が含まれていたことから、両ムチンに対するモノクローナル抗体の作出を行った。しかし、これまでのところレセプターに対するモノクローナル抗体は確立されていない。(第126回日本獣医学会、発表予定) 今後、レセプターと結合するウイルス構造蛋白質のアミノ酸部位を特定し、その部位に対する合成ペプチドを用いてモノクローナル抗体を作出する予定である。
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