研究概要 |
申請時の様式に従いファンクションジェネレータ,高周波アンプからなる超音波発生装置,計測用コントローラー,データ集録システムからなる制御装置,および熱電対,ゼロ点温度補償器からなる温度測定装置を組み合わせて一体化し,超音波加温テストシステムを製作した.超音波トランスデューサおよび体表面の冷却のための冷却水を流せる構造とし,また気泡が発生し,これによる音場の乱れやホットスポットの発生を避けるため冷却水は連続的に脱気させるように脱気装置を通じて循環できる構造とした.温度測定を性格にするため熱電対測定に対し,ゼロ点温度補償器を内蔵させ常時校正できる構造とした.超音波の出力分布をWe i ssler反応+Starch添加系を利用した線量計で検討した.抱水クロラールはこの反応を増強するがトリクロロ酢酸を添加するとさらに感度が増加した.この系を用い分割した格子状容器で照射すると,振動子の超音波出力分布が可視化できた.領域加温用の8cm直径の振動子の加温性能を調べたところ,周波数可変で加温部の深さを変えることができた.深部加温用として集束性能を高める必要があるので,集束性の異なる2種類の5cm直径の振動子を用い照射用ヘッドを製作した.周波数1.5MHzを用い,4cmの脱気水を介して組織等価ファントムを加温した場合,集束型で約1cm径,平面型で約4cm径でともに深さ方向約2cm空間が均一に加温されることが示された.製作した超音波加温テストシステムは超音波発生装置,制御装置,温度測定装置とも目的とする性能を有し,照射ヘッドを工夫することで深部の小空間が有効に加温されることが示された.この装置を用い超音波の非熱的作用による薬物経皮吸収増強効果について検討したところ,ノルアドレナリンおよびヒスタミンの経皮吸収が促進された.超音波の熱および非熱作用は薬物効果増強に有用と思われる.
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