リボソームモ-ルサブユニットRNA配列に基づいた簡便な同定システムを完成させるため、以下の項目の検討を行った。 1)データの不十分な菌種のデータの補充のため、特にPseudomonas属および腸内細菌群の各属の約50種の基準株を購入して、それらのssurRNA配列を解読した。これらの結果、いくつかの分類上の問題点が指摘された。たとえば、Flavimonas属はPseudomonas属の基準種のPseudomonas aeruginosaときわめて類似した配列を有し、Pseudomonas属に帰属すべきであると判断された。 2)配列解読の簡便化のため、キャピラリーPCRよるシークエンス反応の最適化、キャピラリー電気泳動による高速化を試みた。この結果、キャピラリーPCRによるシークエンス反応は、PCRプロダクトの場合十分良好な結果を与え、またキャピラリー電気泳動による配列解読を含めた全体の配列解読時間は約3時間と短縮された。こまれでの配列解読では約2日を要していたので、大幅に短縮された。また、作業についても泳動ゲルの作製のような煩雑な操作を省略することが可能となった。 3)ssurRNAデータベースの整理のため、EMBLより全てのssurRNA配列情報を引出し、これらの配列の不備な箇所をチェックした。解読ミスの少ない情報については、アライメント化した。
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