研究課題/領域番号 |
07556131
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
入谷 明 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (80026385)
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研究分担者 |
宮下 実 大阪市天王寺動植物公園, 事務所・飼育課, 係長
竹乃下 洋司 (株)ケアリー, 生産本部, 本部長
細井 美彦 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (70192739)
岩井 保 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (60026490)
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キーワード | 顕微受精 / 死滅精子 / 凍結保存胚 / 胚発生 / 保護生物学 |
研究概要 |
本年度は、希少ならびに準希少動物の生殖細胞分離と保存に関する研究を行った。これに合わせて動物園等の研究協力者の拡大を進め、実験計画の中心であるサンプルの蓄積と顕微受精による受精現象の検討を行った。現在、40種類の弊死体より精巣を摘出して凍結保存している。雄生殖細胞は、それらを融解し、精巣、精巣上体を細切し、パーコール洗浄した。採取できた精子は、細胞懸濁液をつくり、風乾標本にした後染色、形態と染色像を記録した。採取できた種の精子は、-30℃で凍結して、保存している。全体の20%程度のサンプルしか精子が回収できなかった。これらのサンプルは死亡状況が加令による為で、生殖機能が減退している個体が多かったためとか考えられる。また、生細胞を回収分離する試みは、死亡24時間以内に回収しなくてはならない。この様にして回収された精子は、ハムスター卵子に注入し、受精能力を検討した。その結果、回収直後には前核への発育能力を保持している事が判明した。この研究と平行して、希少サル類の生殖生理学的研究モデルとして、カニクイザルの体外受精とニホンザルの精子を用いた顕微受精系を検討した。両種とも成熟雄個体を利用できるので、電気刺激による採精を行い、射出精子を用いて受精を行った。ニホンザルでは通常の体外受精系の確立を目指し、カニクイザルでは顕微受精による受精系の確立を目指して実験を開始した。過剰排卵処置は、ヒトのプロトコールと同様にGnRH処理により安定的に採卵する事ができた。卵母細胞の成熟度が、不十分である可能性が高く、成熟に対する配慮が必要である。精子ならびに精子細胞は、特殊研磨器(マイクロ・ベベラ-)で研磨した針で、卵子へ顕微注入し、前核形成能を検討した。カニクイザルでは、卵巣細切法により回収した卵母細胞で成熟卵母細胞を入手し成熟させ、成熟の小卵胞は、体積が比較的小さいので一般培養細胞と同様の方法で培養した。現在、系の確立にまで至ってないが、準備段階のプロトコールは、予備実験を経て出来上がった。
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