研究課題
基盤研究(A)
本研究は、希少動物の精巣と卵巣を入手し、生殖系列細胞を保存するバンク機能を持たせながら、モデルとしてハムスター卵子を用い、生殖技術が検討されていない希少種動物精子の受精条件を中心に検討した。哺乳動物30種の雄死体から精巣を凍結保存し、うち24種から精子を回収することが出来た。全て凍結保存サンプルであった為、非常に細胞の状況が悪かったが、顕微受精を行った8種類の精子のうち3種類で前核形成が確認された。他に鳥類11種、は虫類6種、両生類3種の死体精巣が回収されたが、哺乳動物精巣と異なり回収は出来なかった。この精子顕微受精実験で、前核形成率が低い例が散見され、保存状態と発生率の関係が推測された。精子の保存期間により染色体の異常が誘起されるようである。この結果から、精子利用性と言う観点から受精卵生産が可能な系を確立するためには、染色体並びに遺伝子の異常検索が重要であると示唆された。次に、本研究では、精子の顕微受精の技術として、精子頭部のみや精子細胞の注入による産子の獲得の可能性を示唆することができた。その結果、核移植由来の胚盤胞を得ることができたので、移植により産子を得る予定である。また、この技術で、希少動物のクローン動物による個体数の回復がはかれる可能性があるため、本研究のバンク機能に体細胞の回収と培養、保存も加えた。培養細胞は胎児、成熟個体由来により、その生存能力が異なるため詳細に検討しているが、今後の検討課題として検討する予定である。最後に、絶滅危惧種モデルとしてのニホンザルの研究では、体外受精、体外培養並びに卵管移植で産子を得た。同時に進行させている顕微受精では、胚発生が確認できた。今度これらの技術が真猿類他種の人工繁殖技術モデル系として利用できるものと確信している。
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