研究課題
基盤研究(A)
1.海底熱水の自動採水装置の開発(1)本装置の基本設計について検討した結果、採水駆動部および採水弁開閉部それぞれに形状記憶合金ばねを採用し、それらをを採水容器に外付けする型を採用した。(2)本装置の実用プロトタイプとして100ml容量を検討した。取扱いが容易な円筒形を基本とし、軽量化を図るためにアルミニウム・テフロンを基本使用することとした。(3)本装置に必要な駆動力を発生する形状記憶合金ばねの仕様を検討し、同等品を入手した。本品の仕様を参考に詳細設計の準備を行った。本装置の組み立てを行い、室内試験により作動確認を行った。(4)2.海底熱水の自動採水装置の実海域試験(1)潜水調査船「しんかい2000」により、海底火山(水曜海山)火口内の熱水噴出孔において、本装置の性能確認を行った。水深は1374-1375m、採取時の熱水温度は最高z98℃にも達した。(2)本装置で採取した熱水の微生物を顕微鏡観察で計数したところ、採取試料1mlあたり10^5-10^6という微生物密度が得られた。これは同じ水深で普通に知られている値の10-100倍も高い値である。また、採集した微生物からDNAを回収し、その16SrRNA遺伝子について解析したところ、好圧性のShwanella属菌に近縁であることが示唆された。(3)本装置で採取した熱水の化学成分を分析したところ、試料への周囲海水の混入が見られた。海水の混入率は試料全体の48%から90%であった。原理的には、本装置では純粋な熱水が採取できるはず、つまり、周囲海水の混入率が0%になるはずである。今回の海水混入は、採水駆動力が大き過ぎて採水速度が速くなり、周囲海水を巻き込みながら採水したことが原因と考えられる。
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