研究概要 |
本研究は,スイカの収穫を行なうために,人間の歩行のために作られた幅0.5mの畝間を走行可能な幅の狭い小形車両に搭載可能で,質量50kg以下の軽量マニピュレータを実用機レベルで開発すること目的として開始した。実用化できるマニピュレータを開発するため,代表的スイカ産地の熊本県,鳥取県,石川県および福井県の栽培状況を調査し,マニピュレータの設計仕様を,先端の持ち上げ荷重150Nおよび作業可能領域2.8mで,畝間を走行可能な幅0.5m以下車両に搭載して作業可能なこととした。 これらの仕様を満足した軽量マニピュレータを開発するため,曲げモーメントの発生しないトラス構造を採用した。また,上下,左右旋回駆動及びグリッパ移動用のサーボ・モータ等をカウンタバランスとして使用し,自己平衡機能を与えた。さらに、マニピュレータに平行リンクを設置することで,畝上でのスイカの位置に関係なく,上下旋回力の変動はスイカの質量の変動分だけ変動する構造とした。車両から畝上のスイカまでの距離の変動に比べると,スイカの質量の変動は少ない。このため,カウンタバランスの平衡機能が向上するとともに,カウンタバランスの軽量化を計ることができた。また,マニピュレータ搭載車両として温室内で使用する小形の畝間自走式散布機の使用が可能となった。 これらの概念に基づいて,設計と試作を行なった結果,マニピュレータの質量は15kg以下となり,自己平衡機能と併せて,小型車両に搭載して倒れることなく,2.8m先の13kgのスイカの収穫作業が可能なロボットを実現できた。
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