研究課題/領域番号 |
07557002
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
柴田 洋三郎 九州大学, 医学部, 教授 (90037482)
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研究分担者 |
奥富 昭次 日本電子エンジニアリング, 技術総括部, 部長
稲井 哲一朗 九州大学, 医学部, 助手 (00264044)
中村 桂一郎 九州大学, 医学部, 助教授 (20172398)
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キーワード | 原子間力顕微鏡 / 走査プローブ顕微鏡 / コンタクトモード / 生体高分子 / プラスミドDNA / 上皮細胞 / microvili / microplicae |
研究概要 |
・本研究初年度に導入した大気圧仕様の走査プローブ型顕微鏡JSTM-4200A型機をもちいて、単離した生体高分子から組織中の細胞表面まで、各種の生体試料について観察を試みた。また、走査プローブ装置の制御ソフトウエアの改良も行われた。 ・単離したタンパク質、核酸などについて生体高分子の観察を行った。数種の方法でマイカ板劈開表面にこれらの分子を付着させた状態で自然乾燥しAFM観察を行った結果、対象分子浮遊液の溶媒として超純水をもちい、至適濃度および付着時間を決定することにより、特に、プラスミドDNAについて解析可能な像を得ることができた。しかし、その太さは本来のものとは考えられない。また、プラスミドDNAは超純水に浮遊した直後には、輪状構造をとるが、時間と共に、約2倍の太さを示す直線状の構造が増加した。超純水においてスーパーコイル状の変性が進んだものと考えられた。また、対象分子およびマイカ板表面の電荷の影響で試料が付着しないという報告もあり、数種の緩衝液を試みたが、超純水により不純物の混入が少なく、濃度、時間の適切な設定で観察に耐える試料を作成することができた。 ・生物の組織、細胞表面の観察は、試料の軟らかさによる変形を避けるため、化学固定、凍結乾燥等を試みた。比較的平面性の保たれている、角膜上皮、赤血球、膀胱上皮、舌上皮について、細胞表面のmicrovilli、microplicae等を観察した。走査型電子顕微鏡像と比較検討した結果、無蒸着試料の大気中での高倍率観察が可能であることが確認され、今後の各種の機能状態における膜表面構造変化の追跡等の研究が期待される。 ・生物試料のAFM観察は高倍率での観察に大きい成果が得られたが、組織、細胞表面は一般に凹凸が大きくAFM観察に困難を伴うことが多いため、あらかじめ観察に適した試料部位の走査、選択を可能とする技術開発が望まれる。
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