研究概要 |
我々は急性炎症反応における好中球浸潤に本質的な役割を担っているIL-8に対するマウス単クローン性抗ヒトIL-8抗体のヒト型化をCDR(complementarity determining region)graftingにより完成し、現在大量発現に成功した。この抗体の標的とする臨床疾患を特定するためにウサギを用いた様々な急性炎症モデル作製し、その効果を確認している。中でもより臨床病態に近いモデルとして敗血症誘導性ARDSモデルや脳虚血後再潅流モデルを作製した。これらのモデルにおいては、抗IL-8抗体投与により病態悪化を著明に抑制することが明らかとなり、ヒト型化抗IL-8抗体の臨床応用の可能性を示唆する結果となった。一方、NF-kBを標的とした抗炎症剤開発については、我々はヒト単球系細胞株THP-1細胞抽出液中にIKBαに会合してリン酸化するIKBa会合キナーゼを同定し、そのリン酸化部位がIKBαのC末端領域酸性ドメインのSer/Thr残基であることを見いだした。しかもその後の研究から、これはカゼインキナーゼIIやTNFα及びIL-1のシグナル伝達系における同様の機能を有するキナーゼ(IKKα,β)とは異なるIKBα会合C末端キナーゼであることがわかり、この酸素の精製をすすめ成功した。SDS-PAGEの結果、分子量約40Kdで、精製酵素は293のセリンを主にリン酸化することが明らかとなった。しかし遺伝子クローニングの目的で蛋白の微量分析を試みたが、N末端の閉鎖により結果は得られず、さらにLys-C消化物をTOF-MSにより分析したが結果は得られず、現在さらに酵素の精製をすすめ、蛋白の微量分析としてのマススペクトロメトリーを含め、検討を行っている。
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