研究課題/領域番号 |
07557032
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鍔田 武志 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80197756)
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研究分担者 |
本庶 佑 京都大学, 医学研究科, 教授 (80090504)
宮脇 茂樹 日本新薬(株), 分子生物学研究部, 主任研究員
石田 博 国立療養所宇多野病院, 臨床研究部, 室長
日合 弘 京都大学, 医学研究科, 教授 (10073131)
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キーワード | alyマウス / 自己免疫 / シェ-グレン症候群 / 動物モデル |
研究概要 |
我々はaly変異ホモ接合体とヘテロ接合体100匹以上のマウスについて病理学的解析を行い、ホモ接合体でのみ、涙腺、唾液腺にヒトシェ-グレン症候群とよく類似した、導管周囲の単核球の浸潤と腺房細胞の変性を主体とする炎症所見を認めた。さらに膵にも導管周囲の単核球の浸潤と腺房細胞の変性を認め、進行したものでは、外分泌線は完全に脂肪組織で置換されていたが、ランゲルハンス島は保存されていた。このような所見はヒトの慢性膵炎とよく類似していた。また肺には血管炎を認めた。これらの炎症所見は、加令と共に頻度が上昇し、膵、肺の所見は14週令以上で全例に、涙腺、唾液線炎では20週例以降全例で所見を認めた。しかし性差は、認めなかった。なお、消化管、甲状腺、性腺には所見はなかった。以上よりalyマウスは外分泌腺の系統的な炎症を認め、自然発症シェ-グレン症候群や慢性膵炎のよいモデルであることが示された。 次に、ホモ接合体とヘテロ接合体の交配を系統的に行い、aly遺伝子のホモ接合と外分泌腺炎の発症が極めてよく相関することを明らかにした。この結果はalyホモ接合体で認められる外分泌腺炎の原因がaly遺伝子またはその極めて近傍の遺伝子であることを強く示唆している。 さらに、涙腺、唾液腺および膵の免疫病理学的解析によりこれらの臓器への浸潤細胞はほとんどがCD4^+T細胞であることが明らかとなった。したがってこのマウスでの外分泌臓器の炎症の発症機序に自己免疫機序が関与することが示唆された。
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