研究課題/領域番号 |
07557036
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小山 洋 東北大学, 医学部, 助教授 (30143192)
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研究分担者 |
渡辺 知保 東北大学, 医学部, 助手 (70220902)
佐藤 洋 東北大学, 医学部, 教授 (40125571)
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キーワード | セレン / セレン蛋白 / グルタチオンペルオキシダーゼ / セレノプロテインP / アフィニティクロマトグラフィ / ゲルろ過クロマトグラフィ / ICP-質量分析 / 安定同位体 |
研究概要 |
昨年度までに開発したtandem column方式によるHPLC-ICP-MS法を用いて、今年度はヒト血清サンプルについて検討を行った。 1)セレン欠乏症状がみられた完全静脈栄養(TPN)患者に対して行われたセレン補充療法前後における血清セレンの各成分の変動を経時的に観察した。投与中、セレンは主としてselenoprotein Pに、ついでGSH-Pxに取り込まれることが明らかとなった。セレン補充中止後は、まずGSH-Pxに含有されるセレンが減少し、selenoprotein P中のセレンは比較的最後まで保たれた。補充前からアルブミン中のセレンは明確でなく、セレン投与中も増加はみられなかった。 2)血清セレン濃度が正常域をわずかに下廻る程度(85μg/l)でセレン欠乏症状を呈したTPN患者における血清セレンの分析では、セレンは主としてalbuminに含有されており、selenoprotein Pに含有されているセレンは正常対照者の50%程度であった。この患者は麺類に限り経口接種が可能であった。小麦製品中セレンの化学形はセレノメチオニンと考えられており、この形態のセレンはセレン特異的蛋白への利用率が低いのではないかと考えられた。 以上より、セレンを無機セレンとして補充した場合、アルブミン中には取り込まれないことが明らかとなった。健康人における分析では血清中セレンの26.4%はalbuminに含有されるセレンであり、無機セレンでセレン補充を行っているTPN患者の場合の血清セレンの正常域は健康人における正常域より2-3割低く設定すべきと思われる。また、セレン補給時におけるセレンの化学形態として、セレノメチオニンは不適当と考えられた。
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