研究課題
試験研究(B)
自動薬物前処置装置を試作し、現在その動作確認と分離状況をUVモニターを用いて検討している。具体的には、血液・尿から蛋白質等の高分子量成分と薬毒物をゲルカラムを用いて分離し、各薬物(眠剤、精神安定剤、農薬等)が溶出されてくる時間と移動相との関係を検討した。その結果、薬物の持つ吸着性によって同じ程度の分子量の物質でも溶出時間が異なり、対象となる物質によって移動相溶液や溶出液の分取時間を変える必要があることが判明した。例えば精神安定剤として汎用されているベンゾジアゼピン系薬物では、40%アセトニトリルに100mMの過塩素酸ナトリウムを加えた移動相でゲルカラムによる分離が可能となった。この場合、他の薬物に比べて有機溶媒の含有率を高くする必要があったが、その後脱塩処理を行い、ODSカラムで分離定量することが可能であった。これはサーモスプレイ質量分析計に導入して分析することが可能であることを示唆している。また血液試料の場合、有機溶媒を高濃度含んだ移動相を使用すると蛋白凝固が生じ、カラムを詰まらせる原因となるため、メタノール等で前処理する必要があった。また薬毒物によってはアルカリ性移動相を使用しなくてはいけないものもあり、今後カラム保護について検討する必要性があることが判明した。
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