研究課題/領域番号 |
07557044
|
応募区分 | 試験 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小俣 政男 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (90125914)
|
研究分担者 |
金井 文彦 東京大学, 医学部(病)・日本学術振興会, 特別研究員
松村 雅幸 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
多田 稔 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
白鳥 康史 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (70196624)
|
キーワード | AFP mRNA / prospective / 肝癌 |
研究概要 |
我々は、血中AFP mRNAの存在と肝細胞癌患者の臨床病態との関連性を調べる目的でこれまで検討をすすめてきた。今回、当科に入院した81例の肝癌患者について平均33カ月、4年にわたり、血中AFP mRNAの有無と患者の予後をprospectiveに追跡し、肝癌患者の予後因子としてのAFP mRNAについて検討を重ねた。 その結果、治療にもかかわらず、AFP mRNAが持続陽性に示した例では生命予後が悪く、遠隔転移も高率にみられた。逆に治療によりAFP mRNAが陽性から陰性に変化した例では患者予後が良好であった。これらの結果より、AFP mRNA陽性は血中での肝癌細胞の存在を強く示唆し予後不良の徴である一方で、その陰転化は治療効果を反映するものと考えられた。今後はこの検査のルーチン化をめざし、臨床での有用性をさらに確認していきたい。 また、近年癌化の機序としてhMSH2,hMLH1など修復遺伝子の異常が注目されており、こうした修復遺伝子の異常によってマイクロサテライト領域にみられるGA,CAのような2塩基の繰り返し数や、Adenineの連続配列であるpoly A stretchの数が変化することが知られている。VogelsteinらはTGF β II型受容体遺伝子の塩基配列中のpoly A stretchやGT repeatの数が遺伝性非ポリポ-シス大腸癌患者で変化していることを報告した。我々は、胃癌、大腸癌、胆嚢癌および肝癌検体を用いて、TGF β II型受容体遺伝子の異常を検索した。その結果、胃癌10%、大腸癌24%、胆嚢癌20%で遺伝子異常が発見された。しかも変異のみつかった大腸癌は全例回盲部に存在していた(Togo et al.Cancer Res.1996,56:5620-3.)。この結果は消化器癌の発生機序の一つに修復遺伝子異常が関与することを示唆するものであり、さらに研究をすすめていきたい。
|