基礎的検討としてICAM-1のdouble determinant enzyme immuno-assay(DDEIA)の測定系にImmuno-PCRを応用し、バックグラウンドシグナル低下の工夫を試みた。これまでの検討で、(1)鋳型DNAのストレプトアビジンとビオチン化二次抗体への非特異的結合、および(2)血清蛋白の影響が大きな因子であることが明らかにされたため、(1)に対してビオチン化二次抗体とアビジンcDNAをあらかじめ結合させカラムクロマトグラフィーにて結合体を精製してImmuno-PCRを行ったが、感度の改善は得られなかった。(2)については、最近脳脊髄液中のTNFをImmuno-PCR法で高感度に測定し得た報告が出されたため、PBSに溶解した純化ICAM-1の測定を行ったところ再現性と感度(10^1倍)の改善が得られた。さらに、髄液中の蛋白測定系としてmyelin basic proteinのDDEIAにImmuno-PCR法の応用を試み、この系でもEIAに比較して10^2倍の感度が得られた。 膵癌関連抗原MUSE11(MUC1ムチン)のsandwich enzyme immunoassayにImmuno-PCR法を応用し、組み換え蛋白や細胞株培養上清ではimmuno-assayの10^2倍の感度が得られた。繰り返し測定による再現性にはまだ問題があるが、患者血清でもほぼ10^2倍の感度が得られ、immunoassay陰性でも陽性を示す例が見出されつつある。
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