研究分担者 |
長田 篤雄 ヤマサ醤油(株), 診断薬部免疫研究室, 主任研究員 (00129157)
松浦 栄次 ヤマサ醤油(株), 診断薬部免疫研究室, 主任研究員
相馬 仁 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70226702)
黒木 由夫 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (70161784)
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研究概要 |
本研究は、肺サーファクタント・「アポ蛋白」及びその遺伝子発現の動態を追跡することにより、呼吸器疾患における「アポ蛋白」解析の診断的意義を確立すること目的とし、遂行された。研究成果の概要を報告する。 1.血清「アポ蛋白」SP-D高感度測定キットの開発と呼吸器疾患への応用 ヒトSP-Dの二抗体ELISAを改良し高感度測定法を確立、これをキット化して臨床応用へ実用化した。このキットを用いて、呼吸器疾患の血清SP-D測定の臨床的有用性につき、検討した。血清SP-D値は、びまん性肺疾患、特に特発性間質性肺炎、膠原病性間質性肺炎及び肺胞蛋白症で高値であり、疾患の活動性とよく一致し血清SP-Dの測定は臨床的に有用なことを明らかにした。 2.呼吸器疾患における「アポ蛋白」SP-A,SP-B,SP-Cの遺伝子発現の解析と臨床応用 1)肺腺癌における「アポ蛋白」遺伝子発現:肺癌患者胸水より採取した癌細胞の「アポ蛋白」遺伝子発現をPCR法で検索した。腺癌由来の癌細胞では高率にSP-AmRNAを発現するが、腺癌以外の肺癌では発現せず、SP-A遺伝子の発現は腺癌に特異的であった。腺癌におけるSP-A蛋白の発現よりもmRNA発現の方が敏感に検出でき、その診断的意義は高いことが示された。 2)急性肺傷害における「アポ蛋白」遺伝子発現:エンドトキシン気道内投与、急性肺傷害ラットでは、肺胞上皮細胞の増殖、分化とともにSP-A,SP-B,SP-CmRNAの過剰発現が認められ、これは肺の傷害に対する防衛反応を反映するものと考えられた。 3.「アポ蛋白」SP-Aの分子異常と肺病態の解析:肺胞蛋白症患者のBALから分離したSP-Aには高次構造の異常が認められ、この構造変化がSP-Aの肺胞細胞受容体を介する機能の異常を惹起し、本疾患の病態を形成することを明らかにした。
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