虚血性心臓病の発症と密接に関連した遺伝性高脂血症家兎の開発

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07557052
• 研究種目: 試験研究(B)
• 研究機関: 山形大学
• 研究代表者: 友池 仁暢 山形大学, 医学部, 教授 (90112333)
• 研究分担者: 中村 秀範 山形大学, 医学部, 講師 (30240675) ; 大和田 一雄 山形大学, 医学部, 助教授 (60101010)
• キーワード: 危険因子 / 心筋梗塞 / 冠動脈硬化 / 高トリグリセリド血症 / 高コレステロール血症 / 家系解析

研究概要

1)冠動脈における動脈硬化病変の局在
生後6〜8月例のWHHL家兎(24羽)と雑種である日本白色家兎(7羽)の心臓を摘出し、冠動脈内にバリウム-ゼラチン混合液を注入後10%ホルマリンにて固定した。軟X線撮影装置を用いて冠動脈撮影を行った後、心基部を切離し、冠動脈起始部の限局撮影を行った。造影上の冠動脈内腔狭窄病変はWHHLのみに認められ、右冠動脈、左冠動脈何れの場合もそれらの起始部に限局していた。内腔狭窄度は90%以上であった。内腔狭窄部については薄切標本を作製しHE染色とアザン染色を行い病理組織学的検討を行った。求心性の内膜肥厚を特徴とし、線維筋性増殖像が特徴的であった。心筋内の小動脈には内膜肥厚病変を認めなかった。顕微計測した内膜の肥厚度はトリグリセリドやコレステロールの血清濃度と相関しなかった。
2)新しい高脂血症家兎の開発と選抜育種
WHHLホモ接合体のトリグリセリドのレベルに着目して選抜育種を繰り返したところ、2系統を確立することが出来た。超高トリグリセリド群では血清中のトリグリセリド濃度が1000mg/dl以上であった。低トリグリセリド群では250mg/dl以下であった。これらの特質は次世代にも引き継がれることを確認した。現在経時的に血清脂質を検討中であり新しい高脂血症家兎の脂質代謝の特徴を明らかにする予定である。12ヵ月齢に達すると心臓、大血管、各臓器の動脈について硬化進展度と形態学的特徴を検討する。
なお、平成7年度に設備備品として超音波血流計を購入した。臓器血流と動脈硬化の関連を評価可能となった。
3)コレステロールの由来と粥状硬化の修飾
内因性コレステロール血症と食餌によるコレステロール負荷とでは血清脂質や動脈硬化の形成にどの様な生じるのか検討中である。

研究成果

• [文献書誌] Egashira S,et al: "Mechanisms of ergonovine-induced hypersonstriction of coronary artery after x-ray irradiation in pigs" Bas Res Cardiol. 90. 167-175 (1995)
• [文献書誌] Hirakawa Y,et al: "Mechanisms of cornary hyperconstriction in response to serotonin induced by X-irradiation in miniature pigs: Increased constrictive response of medial smooth muscle." Heart & Vessels. 10. 190-196 (1995)
• [文献書誌] Hata H,et al: "Vasoreactivity and restenosis after coronary angioplasty in the atherosclerotic pig model." Coronary Artery Disease. 6. 503-511 (1995)
• [文献書誌] Mitsuoka W,et al: "Augmentation of coronary responsiveness to serotonin at the site of X-ray-induced intimal thickening in miniature pigs." Cardiovasc Res. 30. 246-254 (1995)
• [文献書誌] Abe S,et al: "Continuous measurement of left ventricular volume in rabbit, using a two-electrode catheter." Heart & Vessels. 10. 138-145 (1995)
• [文献書誌] Takeishi Y,et al: "Impaired myocardial fatty acid metabolism detected by 123I-BMIPP in patients with unstable angina pectoris: Comparison with perfusion imaging by 99m Tc-sestamibi" Annl Nucl Med. 9. 125-130 (1995)
• [文献書誌] Sasayama S.(ed.): "New Horizons for Failing Heart Syndrome." Springer-Verlag, 237 (1996)
• [文献書誌] Hayashi K.(eds.): "Biomechanics: Fu ctional Adaptation and Remodeling." Springer-Verlag, 314 (1996)