研究分担者 |
竹脇 俊一 (株)ヤトロン, 中央研究所, 主任研究員
塩島 一朗 東京大学, 医学部(病), 医員
小室 一成 東京大学, 医学部(病), 助手 (30260483)
矢崎 義雄 東京大学, 医学部(病), 教授 (20101090)
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研究概要 |
心筋特異的ホメオボックス遺伝子Csxのhuman homolog(CSX)のクローニング及びその解析を行い,さらにヒト染色体における遺伝子座位を決定した。3種類のcDNA,CSX1〜3を得た。CSXのホメオドメインはCsxと比較してアミノ酸レベルで100%,核酸レベルで93%の極めて高い相同性を示した。各臓器における発現をノーザンブロット法で検討したところ、CSXは心臓にのみ発現し,特に胎児期に豊富であった。また,RT-PCR法により心臓における各アイソフォームの発現を解析したところ,ホメオドメインを含むCSX1が胎児期に豊富に存在しているのに対し,成人ではホメオドメインを欠くCSX2が大部分を占めていた。また,CSXはヒト第5染色体長腕の5q34にマップされた。このヒト第5染色体長腕には別のホメオボックス遺伝子MSX2も存在し,マウスMsx2が発生段階の心臓の刺激伝導系に発現していることが明らかにされている。Csxは発生段階の心臓のすべての細胞で発現しており,ヒトの心臓形成においてこれら2つのホメオボックス遺伝子が相互に関連して機能している可能性が示唆された。以上,ヒト心筋特異的ホメオボックス遺伝子CSXは,ヒトの心臓の形成においてその近傍に存在する他のホメオボックス遺伝子と相互に関連して重要な役割を果たしていると考えられる。
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