研究課題
試験研究(B)
本年度は、冠動脈以外の微小血管造影法と画像処理技術を確立した。1)犬の摘出臓器の撮影(5頭) システムの解像度、感度を確認するためには、動きがなく、しかも微小血管内に造影剤が滞留した被写体を用いる必要があった。麻酔し、開胸または開腹後、冠動脈枝、肝動脈枝、膵臓動脈枝、回腸動脈枝、脳動脈枝にカニューレを挿入し、これを介して、重量濃度37%のヨードを含有する局所血流測定用マイクロスフェア-(直径15μm)を同動脈枝に1-5^*10^8個注入した。注入終了後肝臓を摘出してホルマリン液中で固定した。これに、単色放射光(X線)を照射し(高エネルギー物理学実験施設:安藤正海、兵藤一行)、アバランシェ(電子なだれ現象)型テレビカメラ(HDTVカメラC-4860-16)で撮影を行なった。被写体を通過したX線をX線用増感紙に吸収させ、それが発する蛍光をテレビカメラで撮影した。記録装置としてアナログ型のハイビジョン用ビデオシステムを用いた。プリントアウトの装置としてビデオプリンター(精工舎VP-4500)を用いた。このシステムで解像度30μmで微小血管枝が観察できることを確認した。2)犬を対象とした生体下での微小血管造影(5頭)ビ-グル犬各1頭を用いて、生体下で肝動脈枝、肺動脈枝、回腸動脈枝、膵管の造影を行なった。麻酔し、開胸、開腹または開頭した後、左鎖骨下動脈または左大腿動脈から目標とする動脈枝にバイパス路を作成する。ヨード造影剤(イオパミロン3-5ml)をバイパス路内に注入して、微小動脈枝を選択的に造影した。対照状態での造影を終えた後、薬剤により、微小血管径を変化させて同動脈枝の造影を繰り返した。50μm前後の血管枝を生体下で描出できることを確認した。心周期中の血管径の変化を観察するためにビデオデッキに心電図を造影像に一部重ねて同時記録することも試みた。
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