研究概要 |
1. P100血中濃度迅速測定系の開発 (1) P100特異ポリクローナル抗体の作製 P100に特有のアミノ酸配列を持つオリゴペプチドを3種類合成し,それらを各5羽ずつ合わせて15羽の兎に免疫し抗血清を採取,そこから抗体(Ab)を抽出,精製した. (2) Anti-peptide Abのavidityの検討 精製したanti-peptide AbのP100への感受性乃至特異性を検定した.検体血清とAbを混合し免疫複合体(IC)を形成させた後,^<125>I標識合成ペプチド抗原とも反応させ,後者のIC形成抑制の度合いを視る事でP100血中濃度を算出するというradio-immunoassay (RIA)法を用いた阻害試験により反応曲線を作製した.現在幾つかの抗体が有用なものである事が確認され,更により良い条件設定及び迅速な測定系に持って行ける様検討を重ねている段階である.並行して様々な疾患の患者血清について測定を重ねて居り,試験的にではあるがデータの蓄積も始まっている. 2. P100遺伝子変異迅速診断系の開発 (1) P100遺伝子構造解析 1993年に我々が同定したP100 cDNAをprobeに用いgenomic cloningを行った.得られたクローンの解析を行い,遺伝子地図作製及びintron/exon移行部の塩基配列決定等の遺伝子構造解析を進めて来ている.ヒトRaRF P100遺伝子は少なくとも全長が35kb以上で,コード領域のゲノム構造は16エクソン,15イントロンからなる事が解った.そしてドメイン構造解析の結果,EGF様ドメインは単一エクソン,internal repeat (IR) 1, 2,及びshort consensus repeat (SCR) 1, 2の各ドメインは何れも2エクソンに跨って居り,またプロテアーゼ領域は6エクソンより成っていた. (2) P100遺伝子の多型検索及び解析 今後は(1)の解析完了の後,上記で得られたゲノム情報からintron exon構造を基に適当なプライマーを設計し各exon乃至promotor領域についてPCR-SSCP法を用いて採集,分離した健常児及び易感染性虚弱児の末梢リンパ球より調製したゲノムDNAについて多型解析を施行すると共にDirect sequence法を用いて変異の同定を試みる.
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