研究課題/領域番号 |
07557064
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
西川 武二 慶應義塾大学, 医学部・皮膚科, 教授 (50051579)
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研究分担者 |
大畑 恵之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30213838)
蒲生 忍 慶應義塾大学, 医学部・分子生物学, 講師 (90122308)
清水 信義 慶應義塾大学, 医学部・分子生物学, 教授 (50162706)
天谷 雅行 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90212563)
橋本 隆 久留米大学, 医学部・皮膚科, 教授 (20129597)
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キーワード | 自己免疫疾患 / 天疱瘡 / デスモゾーム / デスモグレイン / 診断薬 / ELISA / 組換え蛋白 / カドヘリン |
研究概要 |
本研究の目的は、生体内での天疱瘡抗原本来の3次元構造を有する組み換え蛋白を作成し、その組み換え蛋白を基質とする迅速簡便なELISA法による新しい診断法の開発をすることである。さらにその組み換え蛋白による吸着カラムを作成し、患者血中より病原性自己抗体のみ吸着除去する抗原特異的血漿交換療法の開発を行うことにある。 平成7年度の研究成果をもとに平成8年度には、分泌型の天疱瘡抗原組換え蛋白PV-His(Rc-Dsg3)およびPF-His(Rc-Dsg1)を組換え昆虫細胞(Baculovirus Expression System)を用いて発現させることに成功した。これらの組換え蛋白は、天疱瘡抗原本来の持つ3次元構造を正しく反映しており、in vivoにおける抗原決定基をすべて有していることが考えられた。3次元構造により決定される抗原決定基は、酸、アルカリ処理により不可逆的に、カルシウム除去により可逆的に失われるが、糖鎖除去の影響をうけない事が判明した。これらの組換え蛋白を抗原としたELISAにおいて、診断の確認されている血清に対し、特異性、感受性共に94%を越す信頼性の高い実用可能な診断薬が開発された。本ELISA法は、従来の正常ヒト皮膚切片を基質とする蛍光抗体法に比べ、特異度、鋭敏度ともに高く、また、各抗原蛋白に対する自己抗体の抗体価を特異的に測定できるために、血清反応からPVとPFを鑑別できる利点もある。さらに病勢との比較検討により、病勢のモニタリングにも役立つ可能性も示唆された。 以上の成果により、臨床応用可能な新しい診断薬の開発が確実となり、また疾患特異的な新しい治療法の開発を示唆され、本研究の臨床医学に対する貢献は多大なものがあると考えられた。
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