研究課題/領域番号 |
07557065
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井戸 達雄 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (80134063)
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研究分担者 |
旗野 健太郎 国立療養所中部病院, 長寿医療研究センター・主任, 研究員 (50228475)
船木 善仁 サイクロトロン, ラジオアイソトープセンター, 助手 (50261491)
岩田 錬 サイクロトロン, ラジオアイソトープセンター, 助教授 (60143038)
今堀 良夫 京都府立医科大学, 附属病院・脳神経外科, 助手 (80191899)
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キーワード | 脳機能診断 / PET診断法 / ^<11>Cジアシルグリセロール / ^<18>Fジアルシルグリセロール / セカンドメッセンジャー / ポジトロン放射薬剤 |
研究概要 |
本試験研究は平成7年、8年の2年間の研究により、セカンドメッセンジャー画像化を軸とした新しい脳機能解析法として、イノシトールリン脂質代謝系、フォスファジルエタノールアミン代謝系、フォスファジルコリン代謝系によって進行する神経情報伝達機能をPETを用いて画像診断する方法を確立するものである。 平成7年度は^<18>Fの製造法の改良、^<18>F標識薬剤のドラッグデザインの検討を進めるとともに^<11>C標識ジアシルグリセロールについて臨床応用における有用性に関する解析が進められた。 (1)^<18>Fの製造法 ターゲットシステムの改良により18MeVプロトン10μA60分の照射で400mCi以上の高い収量での^<18>Fの定量的な製造が可能となった。 (2)^<18>F_-標識薬剤のドラッグデザイン ^<18>F_-ジアシルグリセロールでは、^<18>Fの標識される脂肪酸の炭素鎖が代謝分布に大きな影響を与え、長い炭素鎖(C_<14>〜C_<18>)では、脂肪酸基の再構築反応が進行し、^<18>Fは、トリアシルグリセロールとフォスファジルコリンに多く移行し、代謝分布が複雑となる。炭素数の短い(C_4C_6)脂肪酸基では、イノシトールリン脂質代謝特性は増大するが、生体内脱フッ素反応が進行しやすくなる。これらに対し、炭素数が中程度の1-フルオロオクチル-2-パルミトイルグリセロールは、フォスファジルエタノールアミンへの代謝特性が最もすぐれており、この系を評価する薬剤として、主として遅発性の情報伝達を解析するのに適していることが判った。 (3)^<11>C_-DAGのPET試験 ジアシルグリセロールを利用して正常ボランティア(12名)の脳の機能局在を調べたところ、個人差は非常に強く,frontallobeにおいてもHetero modal(multimodal)lateralizationを示した。つまりfrontal lobeにおいてヒトは各個人ごとに独自のneural networkを持っているということになる。frontal lobeにおいてこのようなmultimodal lateralizationを認めたということは、各個人が生きてきた過程において各々異なる種類、強さの刺激を受けてきたことにより異なる人格を形成し、異なる記憶を持つということと、深い関係を持っているものと考えられる。つまり、frontallobeにおける人格及び記憶に関わるneural networkはlong term potentializationによって誘導されると考えられる。
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