平成7年度では、高吸水性ポリマーの合成と動物実験、臨床研究を行う予定であった。高吸水性ポリマーの合成に関しては、研究室の整備が予定より遅れたため、現在行われていない。しかしながら、商業生産された高吸水性ポリマーを用いて行っている動物実験と初期の臨床試験結果が良好であるため、引き続き準備中である。動物実験は実験計画の通り家兎の腎臓を用いて行った。組織反応の研究では血管及び血管周囲の組織反応は極めて軽微であることが証明され、塞栓物質として優れた特質を有することを確認した。現在、引き続きポリマーの種類、大きさ、懸濁液の種類の違いによる組織変化の調査を行っている。臨床研究は悪性腫瘍患者、及び従来の塞栓物質では治療できなかった動静脈瘻の患者に対して塞栓術を行った。高吸水性ポリマーを用いた場合、従来の塞栓物質では得られなかった腫瘍縮小効果、血流抑制効果が認められた。腫瘍摘出標本も2例得られたが、組織反応は極めて軽微で、副作用による患者の訴えもなかった。これらの事より新しい塞栓材料として有望であると結論づけ、今後の研究を継続する予定である。また、高吸水性ポリマーは医療材料として他の使用用途を模索中であり、血管造影の補償フィルターとして有用性が高く同様に研究継続予定である。
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