研究課題/領域番号 |
07557068
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
放射線科学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 仁信 大阪大学, 医学部, 教授 (00116071)
|
研究分担者 |
友田 要 大阪大学, 医学部, 講師 (20237134)
鳴海 善文 大阪大学, 医学部・付属病院, 助教授 (90273664)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1997
|
キーワード | embolization / angiography / embolic material / AVM / neoplasm |
研究概要 |
【高吸水性ポリマーの選択】 まず、研究を行ったのはアクリル酸とビニールアルコールの共重合体であり物性実験を行い、十分に塞栓物質として実用可能であることを確認した。即ち、マイクロカテーテルを通過すること、粒子の大きさを調節することができること、滅菌が可能であることが証明され、当研究室でこの材料を滅菌バイアルに封入し臨床使用できるまでに完成させた。次の材料としてアクリル酸重合体を取り上げ現在も物性を調査中であるが、同様に滅菌バイアルに封入し特殊な目的には使用できる状態にある。さらにこれらの材料を独自に合成する手段を現在探っており、より臨床使用に適した形で製造、精製、滅菌ができ、ほかの医療施設でも臨床研究を開始できるように協議中である。抗癌剤との併用についての基礎実験は開始しているが、限られた薬剤のみが高吸水性ポリマーに吸着することが確認されているだけで、臨床的な応用にまでは目処が立っていない。 【動物実験】 家兎の腎臓を用いた実験を行い、この材料が極めて軽微な組織反応しか示さないこと、完全塞栓効果を示し再開通をきたさないこと、粒子の大きさにより塞栓効果の異なることを確認した。 【臨床研究】 腫瘍症例、及び従来の塞栓物質では治療できなかった動静脈奇形の患者にたいして高吸水性ポリマーを用いて塞栓術を行った。腫瘍の塞栓術では、肝細胞癌、軟部組織腫瘍、腎細胞癌、腎血管筋脂肪腫、骨転移症例に対して腫瘍の選択的塞栓術を行い以下の知見を得た。 1)肝細胞癌では、選択的な塞栓術で抗癌剤の併用なく良好な腫瘍壊死効果を得ることができる。 2)良性腫瘍では血流を低下させることにより手術侵襲を減らしたり、塞栓術のみによる腫瘍制御が可能である。 3)腎細胞癌では、選択的な腫瘍塞栓術を行っても腫瘍の壊死効果は十分でない。 4)骨転移は、塞栓術で症状の寛解が得られること 次に動静脈奇形では、選択的にカテーテル挿入を行い塞栓術を施行した。従来の塞栓術に比べ良好な治療効果が得られ、動静脈奇形の塞栓術の成績向上に寄与するものと考えられた。しかしながら動静脈瘻を伴う場合はこの塞栓物質単独では治療が困難であり、さらに塞栓物質の改良が必要であると考えられた。
|