研究課題/領域番号 |
07557075
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 試験 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
千原 和夫 神戸大学, 医学部, 教授 (00107955)
|
研究分担者 |
伊藤 光宏 神戸大学, 医学部, 日本学術振興会特別研
置村 康彦 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (30204100)
松井 利充 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (10219371)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1996
|
キーワード | コレシストキニン / ガストリン / 受容体作働薬 / ノックアウトマウス / 胃酸分泌 / 胃潰瘍 / 向精神薬 / 癌 |
研究概要 |
代表的な脳腸管ホルモン受容体、コレシストキニン(CCK)-B/ガストリン受容体に特異的に作用する拮抗薬は、抗消化性潰瘍薬および向精神薬として期待される。私達は分子生物学的手法により、CCK-B受容体を介する細胞内情報伝達機構は、チロシンキナーゼ型増殖因子やインテグリンなどの細胞接着因子受容体の細胞内シグナル伝達系とクロストークしていることを明らかにした。また、オートクリン機構により様々のヒト腫瘍細胞株の増殖促進にも関与していることも見いだした。本受容体を介する細胞増殖能の個体における生理的意義を明らかにするために、本受容体遺伝子ノックアウトマウスの作成を試み、世界で初めて2系統のCCK-B/ガストリン受容体遺伝子欠損マウスの作成に成功した。ホモ変異マウスには発生異常や外表奇形は見られないが、高ガストリン血症や胃酸基礎分泌の低下のみならず、胃粘膜細胞の著明な発育障害が見られ、ヒスチジン脱炭酸酵素、クロモグラニンAなどの遺伝子発現の著しい抑制が確認された。すなわち、CCKBR発現細胞の個体における生理的な細胞増殖に本受容体がたいへん重要な役割を果たしていることが照明された。中枢神経系においてはCCKBRは、大脳皮質の錐体細胞に最も強く発現し、その他嗅球、梨状葉、扁桃、線状体、視床、視床下部や橋などにも領域特異的な発現が認められる。しかしこれらの領域の神経細胞の形態異常は認められず、中枢神経系においてもCCKBR欠損にともなうCCK-A受容体発現への影響は確認されず、両者の受容体発現には代償的な調節機構が存在しないことが明らかとなった。CCKBR遺伝子欠損マウスの解析は、CCK-A受容体を介さないCCKBR機能の代償機構の存在をはじめとして、本受容体の中枢神経系における生理的機能の解明に極めて有用であると期待される。
|