研究課題/領域番号 |
07557077
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中内 啓光 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (40175485)
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研究分担者 |
今井 裕 農林水産省畜産試験場, 繁殖部細胞操作研究室, 室長
徳元 康人 筑波大学, 基礎医学系, 助手 (70261170)
中村 幸夫 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (60231479)
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キーワード | 造血幹細胞 / 自己複製 / トランスジェニックマウス / IL-3 / GM-CSF / サイトカイン |
研究概要 |
昨年度までに確立したヒトIL-3遺伝子とヒトGM-CSF遺伝子のトランスジェニックマウスを免疫不全マウスであるSCIDマウスとかけ合わせることにより両方のサイトカイン遺伝子を持つトランスジェニックSCID(TG-SCID)マウスラインを確立した。このマウスは出生、体重、成長に異常は認められず、正常に繁殖を行うことが可能であった。また血液系にも異常を示さず、ヒトIL-3、GM-CSFがマウス血液細胞に全く影響を与えないことがあらためて確認できた。TG-SCIDマウスにおけるヒト造血支持能を明らかにするため、ヒトMyelodysplastic syndrome(MDS)患者由来のIL-3またはGM-CSF依存性に増殖する細胞株であるF36P細胞の移植を試みた。1x107個のF36P細胞をSCIDマウス、TG-SCIDマウス、抗マウスIL-2受容体β鎖抗体を全投与したTG-SCIDマウスに移植したところ、抗マウスIL-2受容体β鎖抗体を全投与したTG-SCIDマウス群においてのみ、マウス個体内でF36P細胞の強い増殖が観察された。これらのマウスでは移植二ヶ月後には全例で後肢の麻痺が見られ、3ヶ月で全例が死亡した。骨髄細胞の役70%がヒト由来の芽球細胞でしめられており、椎体骨への骨溶解性の浸潤ならびに脊髄への浸潤も認められた。また、ヒト正常臍帯細胞を移植したTG-SCIDマウスでは4ヶ月以上にわたりヒト骨髄球系の細胞が末梢血中に観察されており、我々が確立したTG-SCIDマウスがヒト造血系を長期にわたって再構築可能であることを示すデータが得られている。さらに現在、ヒトG-CSFトランスジェニックマウスと交配していて、将来的にはヒトIL-3,GM-CSF,G-CSFの3種類のサイトカインを産生する免疫不全トランスジェニックマウスを作製し、さらに効率の良いマウス個体内でのヒト造血系の再構築を目指す。
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