研究概要 |
臓器移植においてHLA検査は、公平、公正な臓器の配分、より効率的な臓器の利用という観点から重要な検査である。これまで幾つかのHLA-DNAタイピング法(PCR-SSO法、PCR-RFLP法、PCR-SSP法など)が開発されてきたが、必ずしも移植現場に適した方法とは言いがたい。そこで、本研究では、臓器移植に応用可能な、簡便、迅速、正確なHLA-DNAタイピング法、TMA-HPA法の確立を目的とする。本法は,遺伝子増幅法としてTMA(Transcription mediated amplification)法を応用し,増幅産物の解析にはSSO法の一種であるHPA(Hybridization protection assay)法を採用し,24種類のプローブをマイクロプレートにコーテイングし,日本人集団では21のDRB1アリル群にタイプが可能である。これまで検討した176検体のうち判定可能率は99.4%であり,血清学的タイプとDNAタイプの一致率は100%であった。DR1, DR7, DR9, DR13, DR11, DR1403, HR5, DR12は1対1対応で完全にアリルタイプに一致した.更に,DR2, DR4, DR8, DR14はより詳細なアリルタイプが可能であった.また,血清学的タイプとDNAタイプの結果が完全に一致したことはアリルタイプから血清学的タイプにデータを変換することが可能であることを意味し,血清学的タイピングの困難な死体腎移植ドナーのタイピングのみならず,死体腎移植登録患者のDRタイピングをDNAタイピングで行なってもデータの整合性が保たれると考えられた。今後、group-specificな増幅を行い,かつプローブを追加して,より詳細なアリルタイピングを行う。
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