研究分担者 |
伊藤 泰男 東京大学, 原子力研究総合センター, 助教授 (40011150)
三輪 直人 日本シェーリング(株), 医薬研究開発本部長
阪田 功 東洋薄荷工業(株), 取締役技術部長
中島 進 旭川医科大学, 手術部, 助教授 (70091577)
能勢 忠男 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (10009699)
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研究概要 |
【目的】中性子捕捉療法の効率改善のための新しい化合物を開発するためにこれまでにも検討を行ってきたが、今回は以前に検討したSTA-BX900を改良したSTA-BX909,910についてその生体内動態を検討したので報告する。 【方法】Fisher344ratをNembutal麻酔下に9L細胞を1x10^4cells/10μg深さ5mmにて前頭葉内に移植し、2週間後に薬剤投与を行った。薬剤はSTA-BX909,STA-BX910(n=4)を0.02mmol/kg投与し、投与後24時間後に安楽死させ、腫瘍、腫瘍周囲浮腫脳、正常脳、血液、腎臓、肝臓、脾臓、皮膚を採取し、ほう素濃度をプラズマ誘導結合原子分光分析装置(ICP-AES;Seiko SPS1200A)で定量した。 【結果】薬剤投与後24時間において腫瘍内ホウ素濃度はSTA-BX909において3.48±2.48ppm,STA-BX910では0.065±0.13ppmとSTA-BX909において高い腫瘍集積性を示した。STA-BX909における腫瘍/血液比は24hoursにて15.3±9.39とばらつきが大きいものの高値を示した。 【考察】STA-BX909はボロンケージ戸ポルフィリン環を結合するスペーサーにアミノグアニジンが用いられている。以前に検討したSTA-BX900(1)のデータでは24時間後の腫瘍/血液比1.55であり、STA-BX909では腫瘍へのより効率的な取り込みが示唆された。スペーサーの構造が腫瘍への取り込みや化合物の安定性に寄与していると考えられ、今後さらに検討を行う予定である。 Reference 1)Matsumura A,Shibata Y,Nakagawa K,Yamamoto T,Yoshizawa T,Yoshii Y,Nose T,Sakata I,Nakajima S,Miwa N: Boron-,Gadolinium-Porpphyrin Derivativites for Neutron Capture Therapy. In Mishima Y ed Cancer Neutron Capture Therapy. Plenum Press, New York,pp 245-250,1996
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