研究概要 |
(1)定量的受容体オートラジオグラフィー法、(2)定量的放射免疫組織化学法、(3)in situハイブリダイゼーション組織化学法の三つの技法を組合せた受容体画像化定量システムを用いて、ラット脳内エンドセリン受容体について検索した。 リガンド結合活性は、海馬錐体細胞層にはET_A、ET_Bともに全く存在せず、CA1上昇層にET_A受容体活性を認めた。小脳ではPurkinje細胞層にET_B活性を認めた。受容体オートラジオグラム上、海馬錐体細胞層は帯状の空白領域として観察されるのに対して、小脳Purkinje細胞層は帯状の高密度黒化領域として視認され対照的であった。^<35>S標識cRNAプローブを用いたin situ hybridization法では、ET_A mRNAが海馬錐体細胞層神経細胞体に認められ、上昇層には存在しなかった。小脳Purkinje細胞層では高密度なET_B mRNAがグリア細胞(Bergmann細胞)に観察され、Pukinje神経細胞体には認められなかった。 ラット延髄下部では、area postrema,nucleussolitary tract,dorsal motor nucleus of vagus,hypoglossal nucleusにET_B活性が存在した。腹側では、lateral reticular nucleusに限局的に密着していた。nucleus spinal tract trigeminal nerveにも存在した。ET_A活性は、area postrema,nucleus solitary tract,dorsal motor nucleus of vagusに孤立的に検出された。ET_B mRNAは、ET_B活性の分布と一致していたが、発現量は必ずしも結合活性量と相関しなかった。ET_A受容体mRNAは、area postremaに限局的に認められた。 以上、本定量システムの神経伝達物質受容体研究における有用性が明らかになった。
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