研究概要 |
平成8年度においては,骨芽細胞において最も多量に発現する蛋白であるI型コラーゲンのプロモーターを用い,これにベータ-ガラクトシダーゼをレポーターとして結合したプラスミドを導入したトランスジェニックマウスについて検討を行った.本マウスはI型コラーゲンを多重に発現する組織である骨並びに靭帯において,レポーターであるベータ-ガラクトシダーゼを発現することにより,酵素活性として検出することができ,従ってI型コラーゲンのプロモーターの活性をモニターできる系として使用することができた.特に最も長いI型コラーゲンのプロモーターを持つ3200ベースのベータ-ガラクトシダーゼコンストラクトにおいては,マウスにおいてリポーターの発現が靭帯を中心として観察することが可能であった.このようなマウスは骨芽細胞の分化形質の発現を促進する薬剤或いは転写因子或いは生体内の生理活性物質を検出する系として極めて有効であり更にプロモーター領域の欠失変異である-2300及び-900のプロモーターを持つベータ-ガラクトシダーゼのコンストラクトを導入したトランスジェニックマウスを用いて同じI型コラーゲンの発現についても組織特異性があるか否か,またそれぞれの組織特異性の発現をカルシウム向性のホルモン並びにサイトカインのいずれが最も協力に調節するか,またビタミンDの誘導体などにおいて,どのデザインの薬剤が最も有効な骨形成機能に結び付く遺伝子発現を誘導するかについて検討を更に進める基盤が確立された.
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