研究概要 |
本年度はマウスのembryonal carcinoma由来多能性幹細胞様細胞株C1を用い、その遺伝子ライブラリーを作成し、このライブラリーよりスクリーニングを行って、noggin遺伝子のクローニングを行った。塩基配列の決定により、nogginの全長のうちのC末端側約110アミノ酸の部分をコードするフラグメントが取れたことを確認した。nogginは上皮から間葉、また間葉から上皮のシグナルを伝達する分子群の中でBMPのアンタゴニストとして作用することが考えられている。in situ hybridizationによって胎生11.5,13.5,15.5日胚の発生段階の異なるマウスを用い、その歯胚においてシグナル分子であるBMP2,BMP4,BMP7が発現することが確認できた。BMPはこの組織間のシグナル分子であり、その標的がこのシグナルの作用にフィードバック的な制御を行う可能性があり、今後更にBMPの標的について検討を行うことにより、歯胚を始めとする胎児の組織の形態形成の場において、行われているシグナルの伝達とその制御の機構を明らかにすることが今後期待できる。
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