研究課題/領域番号 |
07557117
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
佐藤 俊英 長崎大学, 歯学部, 教授 (60013968)
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研究分担者 |
長谷部 義男 室町機械株式会社, 技術部長
砂本 順三 京都大学, 工学部, 教授 (80037811)
宮本 武典 長崎大学, 歯学部, 助手 (10167679)
岡田 幸雄 長崎大学, 歯学部, 助教授 (60136687)
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キーワード | 味覚上皮 / 全自動灌流サンプリング装置 / 味刺激 / 遊離物質 / セロトニン / 電気化学検出法 / 人工脂質 / 味受容蛋白 |
研究概要 |
平成8年度までにほぼ完成された生体上皮全自動灌流サンプリング装置を更に改良し、味刺激時に味覚上皮から遊離される物質を採取した。前年度までは得られたサンプルのペプチド成分を逆相クロマトグラフィーを用いて分析した。本年度は電気化学検出法によってサンプル中のカテコールアミン、特にセロトニンの検出を行った。0.5M食塩と25mMクエン酸(pH 3.0)のいずれによっても、5HTのかなり高い分泌が誘起されていることが分かった。しかし、現時点ではショ糖やキニ-ネ刺激では明確なピークが観察されなかった。以上の結果は、生理的条件下での生理活性物質採取・同定・定量に関する生体上皮全自動灌流サンプリング装置の実用性を示すと共に味刺激によって異なる物質が味細胞から分泌される可能性をも示す。 一方、味物質受容蛋白質を単離・同定する方法の一つとして、人工脂質(1,2-dimyristamido-1,2-deoxyphosphatidylcholine (D_<14>DPC) )を用いての膜蛋白質抽出法により、舌上皮組織よりいくつかの膜蛋白質を直接抽出することが可能になった。その結果、電気生理学的方法およびアフィニティークロマトグラフィー法により、抽出膜蛋白中にL-アラニン、L-ロイシン、ショ糖に結合する蛋白質が含有されていることが明らかになった。舌上皮のD_<14>DPC非含有リポソーム処理あるいは水処理では味神経応答に変化が観察されなかった。したがって、D_<14>DPC含有リポソームによる舌処理は、味物質に親和性を持つ膜蛋白質を効率的に抽出する方法であることが証明された。 リポソーム法と生体上皮全自動灌流サンプリング装置を併用することによる、味細胞伝達物質放出に直接関与する蛋白の検出同定の試み、およびマウスの系統差による比較を継続中である。
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