研究分担者 |
河野 雅弘 日本電子(株), 分析機器技術本部・応用研, 研究室長
李 昌一 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (60220795)
高橋 俊介 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (60206810)
塗々木 和男 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (90139577)
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研究概要 |
病態と関連したラジカル種のトラップ方法の改良および口腔内循環系での計測応用を試み,以下のような成果を得た。 1.X-バンド計測:ペルオキシダーゼ活性に超高感度感受性を示す化学分子としてデスフェリオキサミンを見い出した。デスフェリオキサミンはペルオキシダーゼ存在下で活性酸素ラジカルと反応してデスフェリオキサミンラジカル)(DFXラジカルを生成する。このラジカルは30分以上安定で、ペルオキジダーゼ濃度10μM以下で1:1の関係で生成する。したがって、酸化還元反応の鋭敏なプローブとしてDFXラジカル生成反応を用いることが可能となった。次年度では,口腔組織にこれを応用する。また,NOをESR法でモニターするためにヘモグロビン(Hb)をトラップ剤として用い、歯髄血液中でNOの存在を確認できた。 2.口腔内組織循環系の変動とフリーラジカル計測:反応性充血モデルを用い,歯髄血管径および血流量とフリーラジカルの関連を検討した。この結果,(1)フリーラジカル,とくにスーパーオキシドとヒドロキシルラジカルは,反応性充血の発現を抑制すること,(2)NO合成阻害剤はフリーラジカルの反応性充血に対する効果を消失させること,(3)LPS投与によってフリーラジカルの効果が疑似できること,などを確認した。したがって,反応性充血はNO生成に依存すること,そして,フリーラジカルはこのNO生成を抑制すること,などを明確にすることができた。これは,歯髄において,NOが機能的循環調節因子としての役割をもつことを世界で初めて明確にした研究である。
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