研究課題/領域番号 |
07557125
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 試験 |
研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
大野 弘機 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70018430)
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研究分担者 |
飯塚 恵文 日本橋徳力, 技術部, 課長
遠藤 一彦 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (70168821)
荒木 吉馬 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (20005036)
平井 敏博 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (80014273)
松田 浩一 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (20109458)
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キーワード | チオリン酸系金属接着プライマー / 貴金属合金 / 4-META / Bolgerの酸・塩基理論 / 水晶振動子マイクロバランス法 / ラーザーラマン分光法 |
研究概要 |
貴金属合金に接着性を改良するための元素(In、Sn、Zn)を添加し、さらにチオリン酸系金属接着プライマーを併用すると、顕著に接着性を改善できることを見い出し、特許を出願した(特許出願番号H6-204145)。そこで、本研究では、基礎的研究として、赤外分光光度計(FT-IR)や水晶振動微量天秤法(QCM)を用いて、接着プライマーの吸着構造や吸着量を解明するとともに、光電子分析装置(ESCA)およびレーザーラマン分光光度計を用い、接着性金属合金と接着性レジンの接着機構を検討することを目的とした。さらに、本合金を補綴学ならびに保存修復学領域の臨床に応用することを目的とした。 臨床応用を目的とし、0.9%NaCl溶液中で動電位分極法を用いて耐食性の評価を行った。その結果、Auを60〜70%含有する金合金は、Cu以外の卑金属を18%添加しても、市販の14K金合金と同程度の耐食性をしめした。金銀パラジウム合金においては、InとSnの添加量が合計で10%を超えると、臨界電位はの値は低くなり、耐食性は低下した。また、時刻硬化性の有無を調べたところ、金銀パラジウム合金において顕著な時効性をしめした。 これらの合金と接着性レジンとの接着機構について、Bolgerの酸・塩基理論に基づいて検討した。4-METAが金属表面の水分子と反応して4-METに変化したとして仮定して、フタル酸のpK_Aの値と下地金属酸化物の等電点から検討したところ、In_2O_3、ZnO、SnO_2では、4-METAとイオン性の結合によって接着していると考えられた。水晶振動子マイクロバランス法(QCM)を用いて、Snに対する4-METAの吸着・脱離挙動を調べたところ、4-METAを5%含むMMA中にSnが溶出することが明らかになった。レーザーラマン分光法で溶液を分析したところ、酸無水物基のC=0振動に由来する振動が消失し、キレート化合物を形成していることが明になった。類似の現象が接着界面において生じていると考えられた。
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