研究概要 |
1)原液採取法(柴田,藤田)では,まず,MRI検査により滑液貯留が認められる患者を対象に滑液採取を行い,採取法の改良を図るとともに検体を凍結保存した(30検体)。 2)希釈回収法(村上,久保田)では,顎関節二重穿刺による関節洗浄法を用い,滑液を回収する。希釈液に混和するマーカーの選択,量を検討し,希釈回収法の改良を図るとともに,検体を凍結保存した(20検体)。 3)凍結保存された検体を分析担当者(宮崎)まで冷凍輸送する。ヒアルロン酸,コンドロイチン硫酸A,およびC,ヘパリンの定量分析は高速液体クロマトグラフィーにより,ケラタンおよびデルマタン硫酸の分析は酵素抗体法を用いて行う。 4)滑液採取法ごとの分析結果を検討し,分析限界濃度を推定した(柴田,村上,久保田,宮崎)原液採取法による滑液分析結果と希釈回収法による滑液分析結果とを比較検討した結果,滑液マーカーによってはその値に100倍以上の差が生じていることが判明した。その差違が生じた原因として,希釈回収法における関節腔-希釈液容積比,希釈液注入圧,パンピング回数が密接に関与していることが予測され,希釈回収法では,貯留滑液のみならず滑膜内の成分まで回収する可能性が高いことが示唆された。ついては,それらの要因を十分に考慮した希釈回収法のプロトコール作製がきわめて重要となることが判明した。
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