研究概要 |
1.顎関節原液採取を行った30例(女性、WR7、WOR13、OA5)について滑液の原液採取およびその分析を特異酵素消化後、HPLC法にて行った。全採取滑液の平均重量は70mgで蛋白、HA、C6S、C4Sの平均濃度は、それぞれ103.51mg/ml、5.63mg/ml、48.35μg/ml、19.76μg/mlであった。疼痛のある関節では、ないものに比べHA濃度が有意に低かった(P<0.01)。3群間ではHA濃度で、OA<WOR<WR、C6S/HAおよびC4S/HAで逆にOA>WOR>WRと、いずれも有意の差が認められた(P<0.05)。 2.同様に30例(女性)について、HA,C4S、C6Sおよび蛋白濃度、C6S/C4S,C6S・HA,C4S/HAを測定し、MRIによる関節病態(RA,OA,ID)との関連性を検討したところ、C6S/C4SにおいてRA群と他の2群との間に有意の差が見られた(P<0.05)。 3.16症例17関節について、希釈回収法により上関節腔から滑液採取を行い、IL-1,HA,C4S、C6SおよびPGE2を定量し、これらを臨床所見、関節鏡所見と比較検討した。IL-1の算出濃度は最低28.3、最高1518.5、平均615【.+-。】423.7pg/mlであい、PGE2濃度との相関はなく、またVAS、Pain score,関節鏡によるOA所見との関連もなかった。 4.原液採取された滑液中の炎症性サイトカイン濃度を測定するとともに、希釈回収滑液のそれと比較検討したところ、希釈回収検体が原液採取検体より約11倍高い値を示した。蛋白濃度では逆に後者が前者の約79倍高い値を示し、共に有意であった。このことは原液採取検体は貯留滑液そのものであるのに比べ、希釈回収検体は貯留滑液ばかりでなく滑膜組織中の成分まで洗浄回収していることを示唆するものといえる。
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