研究概要 |
現在まで研究計画を概ね遂行できていると思われる。口腔癌の生検組織における晩細胞核DNA量に関しては、癌浸潤様式別に超4C率と腫瘍径との関連をみると4C型を除き正の相関がみられ、その相関係数は浸潤傾向が強くなるに従って高くなる傾向がみられた。口腔癌107例の予後調査によると、いずれかの浸潤様式においても超4C率の高い症例で治療成績が不良なことが明らかになり、細胞核DNA量が予後因子となる可能性が示唆された。 遺伝子関連蛋白の検索では、p53ならびにnm23遺伝子関連蛋白の発現状況を複合解析することで、確度の高い予後の予測が可能となることが示唆された。すなわち、p53-,nm23+,またはp53±,nm23±の症例の治療成績は各々80.1%、73.1%であるのに対して、p53+,nm23±の症例では30.8%と不良であった。 接着分子の検討からは癌発育先進部のカドヘリンの発現の減弱の有無が、癌の進行度、リンパ節転移の有無と密節に関連することが明らかにされた。すなわち、カドヘリンが減弱としている症例では高率に頸部リンパ節転移が認められた。また、形態学的観察から、末梢神経への接着性の高い癌では局所再発が多く治療成績が不良であった。細胞外基質と治療効果の検討として、コラーゲンの増生と化学療法療法効果ならびに手術時のsurgical marginの状況を検索した結果、化学療法療法効果が著名なものではコラーゲン増生が顕著でsurgical marginがpositiveとなる可能性が低いことが示唆された。
|