研究概要 |
・口腔扁平上皮癌の治療前の生検組織における4倍体超の核DNA量を有する癌細胞(超4C率)を指標として、細胞核DNA量の解析を行った。それにより、超4C率と治療成績との関連性を解析し、その臨床的意義を検討した。超4C率(X)と術前化学療法による腫瘍縮小率(Y)との関係は、回帰式Y=53.401-0.575X,R2=O.062(p=0.026)であった。超4C率の低値な腫瘍はDNA diploidyを示すhomogeneousな細胞集団からなり、non-growth fractionにある細胞の大多数が角化またはアポトーシスを生じたことなどにより、良好な制癌効果が得られたと思われた。癌浸潤様式、3型、4C型ならびに4D型の生存率はstageI,IIの超4C率、10%未満;88.9%、10%以上;58.8%であった。stageIII,IVでは10%未満;83.3%、10%以上;33.3%であった。以上より、超4C率の予後因子としての可能性が示唆された。 口腔扁平上皮癌におけるアポトーシス発現細胞の標識率とそれらの局在様式から得られた所見と臨床病理顎的所見との関連性を検討した。TUNEL法によるアポトーシス標識率(AI)は0.8-6.1%に分布していた。扁平上皮癌のAIは正常粘膜上皮ならびに異型上皮より有意に高値を示した。高中分化癌では腫瘍長径の増大に伴ってAIが高値を示し、両者の間に正の相関がみられた。低分化癌ではその両者の関係は明かではなかった。Mitotic index(MI)を細胞増殖の指標として、AIとの関連をみると、高中分化癌では両者に正の相関がみられた。しかし、低分化癌では浸潤程度に関わらずAIは低値を示す傾向があり、MIとの関連は明かではなかった。
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