研究概要 |
研究計画に従い当初,指尖容積脈派,指尖血流量,心電図波形,トノメトリ法による非観血的連続動脈圧などの非侵襲モニターから得られた生体情報の時系列データを,高速に非線形解析カオス理論で解析するシステム(高速非線形解析システム)を作成した.このシステムはデジタル変換した時系列データの非線形カオス解析が高速に可能で,従来我々が行っていたワークステーションによる非線形解析の約10倍の計算速度の向上を達成した.次に,これらの非侵襲モニターから得られたアナログデータを,on lineでデジタルデータに変換し,このデジタルデータをreal timeで解析する歯科臨床用非線形解析システムを開発した.歯科臨床用非線形解析システムで使用するカオス解析プログラムは,VisualC++とVisualBasicでプログラミングし,マイクロソフト社Windows3.1上で動作可能なプログラムとした.この歯科臨床用非線形解析システムでは,時間遅れ埋め込み定理によるアトラクター再構築,KSエントロピー,自己相関量についてreal time解析を可能とした. 歯科臨床用非線形解析システムの信頼性と再現性が,従来のワークステーションによる非線形解析,そして高速非線形解析システムと比べて同等であることを検証した後,健康成人ボランティアの協力を得て,各種のストレスパラダイムをボランティアに負荷した際の,指尖容積脈派,指尖血流量,トノメトリ法による悲観血的連続動脈圧の時系列データのカオス特性の変化を検討した.負荷するストレスパラダイムは,精神的因子の大きいパラダイムとして暗算計算ストレス,歯科治療を想定したパラダイムとして下顎歯槽粘膜への生理的食塩水投与を行った.その結果,指尖容積脈波の,時間遅れ埋め込み定理によるアトラクター再構築,KSエントロピー,自己相関量が,ストレス負荷に対して比較的再現性良く反応する事を観察した.
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