研究課題/領域番号 |
07557134
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研究種目 |
試験研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古賀 敏比古 九州大学, 歯学部, 教授 (10037541)
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研究分担者 |
中井 素行 ライオン(株)オーラルケア研究所, 研究員
郁 皓 九州大学, 歯学部, 助手 (30260714)
中野 善夫 九州大学, 歯学部, 助手 (80253459)
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キーワード | 齲蝕 / Streptococcus mutans / 定着因子 / 融合タンパク質 / 受動免疫 / タンパク質抗原 / グルカン合成酵素 / 齲蝕予防 |
研究概要 |
齲蝕の最も主要な病原菌と考えられているStreptocococcus mutansの歯面への定着には、同菌の菌体表層タンパク質抗原(PAc)とグルカン合成酵素(GTF-I)が重要であると考えられている。本研究では、両定着因子の機能領域からなる融合タンパク質を遺伝子工学的手法を用いて作製し、齲蝕の免疫学的予防への応用を目指す。本年度は、先ず、S.mutans MT8148株からGTF-IをコードするgtfB遺伝子とPAcをコードするpac遺伝子をそれぞれ分離した。ついで、gtfB遺伝子からGTF-Iのグルカン結合領域をコードするgtfB-GB断片を制限酵素SaIIとHindIIIで切り出した。一方、pac遺伝子からPAc分子の機能領域とされているA領域をコードするpac-A断片を制限酵素KpnIとSaIIで切り出した。さらにそれぞれの断片を結合後、QIAexpress Systemの発現ベクターpQE-30に挿入し、E.coli XL-1 blue株を形質転換した。IPTGの誘導により融合タンパク質を発現させ、SDSポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)及びWestern Immunoblotting法にて確認した上、Ni-NTAレジンカラムを用いてPAc-AとGTF-I-GBとの組み換え融合タンパク質を大量に精製した。精製した融合タンパク質はSDS-PAGE上では分子量約80kDaの単一なバンドであり、Western Immunoblottingではウサギ抗S.mutans PAc抗体及び抗S.mutans GTF-I抗体のいずれとも強く反応した。また、同融合タンパク質はAgarose gelを用いた免疫沈降反応においても上記の両抗体との間に免疫沈降線を形成した。この方法により、1リットルのE.coli XL-1 blueの培養液につき約6mgの融合タンパク質が精製された。今後、この融合タンパク質でウサギを免役し、齲蝕予防に有効な抗体を調製する予定である。
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