平成7年度は、以下のようにして妊娠が確認された母親マウスに、妊娠15日齢に吸入麻酔下で帝王切開を施し、子宮内の口唇口蓋裂自然発症マウス胎児マウスの顔面部を、子宮外に露出させ、胎児外科手術用顕微鏡下で、口唇や口蓋裂隙部を外科的に閉鎖した。そして術後直ちに、同胎児マウスを母親マウスの子宮内に再度もどし、その後の子宮内での成長発育を促し、自然分娩にて母親マウスより新生児マウスを得る技術を確立した。 (1)実験動物として、口唇口蓋裂自然発症マウス(CL/Fraserマウス:自然発症率30%)を用い、同系統の雌雄マウス間での交配を行った。 (2)妊娠が確認された母親マウスに、妊娠15日齢に吸入麻酔下で帝王切開を施す。そして子宮内の胎児マウスの顔面部を、子宮外に露出させた。 (3)口唇口蓋裂を自然発症した胎児マウスついて、胎児外科手術用顕微鏡下で、口唇や口蓋裂隙部を外科的に閉鎖した。 (4)術後直ちに、同胎児マウスを母親マウスの子宮内に再度もどし、その後の子宮内での成長発育を促した。 (5)出産直後に、新生児マウスの顎顔面頭蓋形態を顕微鏡下で精査し、胎児外科手術を受けたマウスと正常マウスの頭部X線規格写真撮影を行なっている。 (6)コンピューターと連動したマウス顎顔面頭蓋計測システムにより、マウスの顎顔面頭蓋の計測を行い、データの記録・保存を行っている。 現在までに、次のような結果を得ている。 (1)エントレンによる吸入麻酔を応用し胎生16日齢もしくは17日齢に口唇口蓋裂自然発症した胎児マウスに口唇閉鎖手術を施し、母親マウスの子宮内でその後さらに2日間ないし3日間発育させた後、19日齢に自然分娩により施術された胎児マウスを得ることができた。 (2)自然分娩後のpostnatal growthについては、観察できなかった。その原因として、母親マウスは新生児マウスに哺乳することを拒絶し、出産後数時間以内に新生児マウスを喰殺することにあった。
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