研究課題/領域番号 |
07557139
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
富岡 清 京都大学, 薬学研究科, 教授 (50114575)
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研究分担者 |
井上 勲 田辺製薬生産技術センター, 研究員
長岡 康夫 京都大学, 薬学研究科, 助手 (90243039)
飯田 彰 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (40202816)
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キーワード | 不斉配位子 / リチウムチオラート / 共役付加反応 / リチウムエノラート / 触媒 / 不斉合成 / チオフェノール / 炭素-イオウ結合 |
研究概要 |
汎用有機金属反応剤を有効な触媒的不斉反応へ組み込み、生体応答分子合成へ応用展開するためには、不斉配位子、反応系を効率化すると共に反応を一般化することが重要である。我々は既に本研究において、汎用有機金属反応剤を用いる触媒的不斉炭素-イオウ結合形成反応の開発に成功している。本年度はこの反応に対し、反応系の効率化など反応の化学的基礎への検討を行うと共に、多種の基質との反応を検討し適用範囲の拡大を図った。その過程でチオフェノールのリチウム塩が我々が開発したキラル配位子の共存下97%に達する不斉収率でα,β-不飽和カルボニル化合物に共役付加することを見いだすに到った。この不斉収率の大幅な向上はオルト位にアルキルもしくはシリル置換基を有するリチオ化チオフェノールを用いることにより達成された。このオルト位の置換基が嵩高いほど不斉収率が高くなった。リチオ化チオフェノールは溶液中でオリゴマーを形成しているのに対し、オルト位置換リチオ化チオフェノールはモノマーで存在しているため可溶化しており、我々が開発した3配座型不斉配位子とモノメリックな活性種を形成すると考えられる。このことが選択性向上の理由として考えられる。さらに、11種の基質で本反応の適用範囲を検討した。その結果、70-97%のいずれも高選択性を示し本反応の一般性が証明された。本反応はβラクタム、アミノ酸誘導体、脂肪酸誘導体等の不斉合成への適応が可能であり、医薬品を含めた生体応答分子の効率的な合成への応用展開が期待できる。
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