研究概要 |
受容体キナーゼ2のカルボキシ末端約200アミノ酸とグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質を抗原としてマウスに免疫した.スクリーニングの後,一つのハイブリドーマが得られ,単一のミエローマとなるまでクローニングを繰り返した.このようにして得られたミエローマは受容体キナーゼ2を認識するモノキロ-ナル抗体を産生していた.受容体キナーゼのうち受容体キナーゼ2,3,5および6は多くの組織で発現している.これらをそれぞれ発現させた標品を用いてウエスタンブロットを行うと受容体キナーゼ2のみを認識した.受容体キナーゼ2と3の抗原として用いたカルボキシ末端の領域は相同性がかなり高い.この2種を区別するモノキロ-ナル抗体は受容体キナーゼ2のみの発現,翻訳後修飾などを調べるときに非常に有益である.ハイブリドーマを大量に培養し,培養上清より硫安沈殿,カプリル酸処理,さらに透析後ふたたび硫安沈殿し濃縮された標品を得た.しかしながら,このモノクローナル抗体は受容体キナーゼ2によるロドプシンのリン酸化に何ら影響しなかった.したがって,特異性は非常に高いが,活性を抑制しないことから本研究の目的には使えないことが明らかになった.現在,いくつかのカルボキシ末端部分とGSTとの融合タンパク質を再び免疫し,ハイブリドーマをスクリーニングしているところである.免疫に使用したカルボキシ末端部分は受容体キナーゼ2が作用を発揮する際の細胞膜への移行に必須の部分であり,得られるハイブリドーマは受容体キナーゼ2の作用を抑制する確率が高い.しかし,抗原として使用した部分が短いためハイブリドーマの得られる確率は低くなると予想される.
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