研究課題/領域番号 |
07557151
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長尾 拓 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (30217971)
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研究分担者 |
野又 康博 栄研化学(株), 生物化学研究所, 主任研究員
黒瀬 等 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (10183039)
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キーワード | モノクローナル抗体 / 抗体分子の遺伝子 / 一本鎖抗体 / 受容体キナーゼ / 細胞特異性 / 細胞内発現 / 調節機構 |
研究概要 |
受容体キナーゼは、活性化された受容体をリン酸化し、受容体の脱感作に関与するタンパク質リン酸化酵素である。現在までに6種の遺伝子がクローニングされており、そのうち酵素学的解析の進んでいるのは受容体キナーゼ2である。受容体キナーゼ2のカルボキシ末端50または71アミノ酸を抗原として免疫し、モノクローナル抗体を作製した。得られたモノクローナル抗体は、アゴニスト依存性の受容体キナーゼ2によるm2ムスカリン受容体のリン酸化を抑制した。また、m2ムスカリン受容体の細胞内第3ループを基質としたときのマストパランによる活性化および三量体Gタンパク質のβγサブユニットによる活性化を抑制した。さらに、何ら活性化因子を加えないときのリン酸化活性も抑制した。 受容体キナーゼ2の全長は689アミノ酸よりなっており、モノクローナル抗体はカルボキシ末端の640番目のLeuと689番目のLeuの間を認識した。この部分を含むペプチドは受容体キナーゼ2を活性化したことから、作製したモノクローナル抗体は活性化に必要な部位に結合することで受容体キナーゼ2を抑制していることが明らかになった。 次に、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマより抗体遺伝子の可変領域V_HとV_LをPCR法によりクローニングし、リンカー(Gly_4Ser)_3でつないだ(V_Hーリンカー-V_L)。さらに発現を確認するためにE-タグをカルボキシ末端に付加し大腸菌に発現させた。スクリーニングの結果、抗原を認識するクローンが得られたのでその塩基配列を決定した。 今後、in vitroでのリン酸化実験を行い、作製した一本鎖抗体が受容体キナーゼ2の活性を抑制することを確認した後、アデノウイルスに組み込む。このウイルスを用いた発現系によって、受容体キナーゼ2の活性を特異的に抑制する一本鎖抗体のin vitroや個体をも含めたin vivoでの発現が可能になる。
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