研究課題/領域番号 |
07557156
|
研究種目 |
試験研究(B)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
市川 厚 京都大学, 薬学部, 教授 (10025695)
|
研究分担者 |
浜中 信行 小野薬品工業, 水無瀬創薬第一研究所, 所長
根岸 学 京都大学, 薬学部, 助教授 (60201696)
杉本 幸彦 京都大学, 薬学部, 助手 (80243038)
|
キーワード | 遺伝子ターゲティング / プロスタノイド受容体 / 7回膜貫通型受容体 / G蛋白 / サブタイプ / 構造活性相関 / 細胞内情報伝達 / プロスタグランジン |
研究概要 |
プロスタノイドは、生体内でアラキドン酸を基質として生成し、強い生理活性作用を示す一連の生理活性脂質である。その作用は他のホルモンと同様、細胞膜の受容体に結合し、細胞内セカンドメッセンジャーを産生し、その作用を発現する。我々は、既に主要なプロスタノイドの受容体cDNAをクローニングし、それらの一次構造を解析した。本研究は、プロスタノイドの生体調節の全貌を理解し、その制御をする医薬品を開発することを目的として、(1)リガンド結合における構造活性相関と細胞内情報伝達における受容体とG蛋白との蛋白質相互作用を指標として特異リガンドを作成し、(2)受容体の組織・細胞における発現の特異性、受容体欠損変異マウスを用いたその生理学的・病態形成的な意義と重要性の解析、未知作用の探索などにより(1)で得られた受容体特異リガンドの標的となる生理・薬理作用の同定・解析・評価を行い、プロスタノイドの医薬品への応用研究を試みるものである。当該年度の成果として、我々は、プロスタノイド受容体全てに保存された第7膜貫通領域に存在するアルギニン残基が、プロスタノイド・リガンドの1位のカルボン酸との会合に重要であることをEP3受容体(プロスタグランジンE受容体のサブタイプ)をモデルとして用いることにより明らかにした。また、EP3受容体においては、このアルギニン残基【symmetry】電荷とリガンドの【.horizontally divided circle.】電荷との相互作用はGs蛋白の活性化には必須であるが、他のGiやG9の活性化には必ずしも必要ではないことを見出した。本知見は、受容体・サブタイプへの結合特異性のみならずその特定の情報伝達系を標的としたリガンド開発が可能であることを示唆するものである。一方、我々はまた、いくつかのプロスタノイド受容体についてその生理機能解析に必須と考えられる受容体発現部位の同定を行っており、既知作用の確認ならびに新たな機能の検索を進行中である。さらに我々はこれらの知見を個体レベルで解析するための受容体遺伝子欠損マウスの作製を行い、既にいくつかの欠損マウスの作出に成功している。現在、これらの解析に必要な受容体特異アゴニストや解析項目の検討、ならびに解析システムの確立を行っているところであり、今後は、プロスタノイドの生理作用の全貌を明らかにした上で、個々のプロスタノイドの個々の部位における生理作用に適した形での医薬品開発を行う予定である。
|