研究課題/領域番号 |
07557157
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
馬場 明道 大阪大学, 薬学部, 教授 (70107100)
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研究分担者 |
橋本 均 大阪大学, 薬学部, 助手 (30240849)
松田 敏夫 大阪大学, 薬学部, 助教授 (00107103)
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キーワード | VIP / PACAP / 受容体 / ノックアウトマウス / ジーンターゲッティング / 神経伝達物質 / ペプチド |
研究概要 |
VIP/PACAPは脳、副腎、膵臓、精巣をはじめとする臓器において、種々の重要な生理機能を持つ神経伝達(調節)物質である。それらの受容体は少なくとも3種類が存在していることから、各ペプチドがどの受容体を介して、その生理機能を発現しているのかは不明な点が多い。また、個々のリガンドや受容体が、生理的・病態的にどの程度の重要性を持つのかについても正確には分かっていない。 本年度の研究では、以下の各検討を行った。 1.PACAP受容体ノックアウトマウスを野生型C57BL/6マウスと繰り返し交配を行い、遺伝的背景が95%以上C57BL/6であるマウスを得た。 2.このマウスの脳の膜画分におけるPACAP27のリガンド結合能を調べたところ、野生型に比べて約3分の1に低下していた。残存する結合活性は、VIP受容体やVIP2受容体によるものと、トランケーションした受容体が一部発現して機能している可能性の両方が考えられた。 3.ノックアウトマウスの形態、行動、生殖能力において調べた範囲では、野生型と差は認められなかった。 4.脳海馬領域における神経シナプス可塑性について調べたところ、野生型と有為な差はなかった。 5.その他、精巣、膵臓の機能については、現在解析中である。 6.PACAP遺伝子ノックアウトマウスは現在作製中である。 7.野生型マウスおよびラットの解析から、末梢交感神経系におけるPACAP受容体とPACAPの共発現が観察され、オートクリンポジティブフィードバック調節因子として働く可能性が強く示唆された。 8.また、交感神経系の細胞において、PACAPがPACAP自体の産生とその受容体の発現を増大させることも明らかになった。 9.マウスインスリノーマ細胞を用いた検討から、膵β細胞では、交感神経細胞の場合と異なり、PACAPの産生は(転写レベルにおいては)誘導されない可能性が示唆された。
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